「義侠」とは、弱い者の苦しみを見逃せない心のこと。
そんな、一本の芯が通ったかのような銘酒を醸すのは、愛知県愛西市に蔵を構える山忠本家酒造です。
大事なことは、量より質。米の持つ力を反映させる、旨い酒造りのみを目指して邁進しています。
山忠本家酒造株式会社
山忠本家酒造は、愛知県愛西市の地に、江戸時代の中期(18世紀)ごろ誕生したと伝えられています。
現社長は、数えて10代目にあたります。
「飲んで旨い酒」を目指し、「義侠」ブランドだけを携えて、酒造りを続けることを決意した人物でもあります。
日本酒の鑑評会で数々の金賞に輝いていたにも関わらず、石高を落としてまで全量純米仕込みとすることにこだわりました。
また、熟成にも重きを置いており、昭和52年からの純米大吟醸を保管しています。
ビンテージ酒の宝物蔵を抱える蔵元です。
目指す味は、「米の力を最大限に還元した酒」。
兵庫県東条特A地区産の山田錦は、同蔵には欠かせない米となっています。
地下200メートルから汲み上げられた、木曽御嶽の伏流水と共に、丁寧な手仕込みで醸し、米の力を酒に封じ込めています。
持てる全てを込めて醸される「義侠」の銘は、明治時代の山忠本家酒造のあり方を由来として生まれました。
酒の価格が急騰した時期であるにもかかわらず、酒の小売商との契約を守り抜いたという逸話にもとづくものです。
採算度外視で、安値の酒を提供し続けた同蔵に対して、小売商が「義侠」という名を贈ったと言われています。
一途に旨い酒を造り続ける、山忠本家酒造らしいエピソードと感じられます。
山忠本家酒造株式会社
愛知県愛西市日置町1813
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おすすめの日本酒
熟成酒に重きを置く山忠本家酒造らしい酒と言えば「義侠 慶(よろこび)」でしょう。
40%まで磨いた、兵庫県東条特A地区産の山田錦で醸した純米吟醸酒がベースとなっている一本。
3年以上の熟成期間を経た、複数の純米吟醸酒をブレンドして仕上げています。
完全受注生産品のため、特約店でしか購入できない貴重な酒です。
11月の出荷時期を見計らって手に入れましょう。
奥行きのある、独特な味わいが舌に慶びを与えてくれます。
日本酒Data
銘柄: 義侠 慶
特定名称: 純米大吟醸酒
使用米: 山田錦
精米歩合: 40パーセント
日本酒度: +3.0~5.0
酸度: 1.5
アルコール度数: 16~17度
香り 弱・・★・・強
コク 薄・・・・★濃
キレ 弱・・・★・強
味わい 甘口・・・★・辛口
美味しい飲み方
熟成酒のブレンドから生まれた「義侠」独特の旨さを壊さないよう、冷やまたはぬる燗でいただいていきましょう。
強い旨味を感じる食材でなければ、この純米大吟醸酒の味に負けてしまうかもしれません。
ショウガをたっぷり使った魚卵の煮込みや、魚卵の醤油漬けなどと合わせると、盃がクイクイ進みます。
その他おすすめの酒
「義侠 侶(ともがら)(純米吟醸酒)」は、加水なしで米感が強い純米吟醸酒。
低アルコールで、穏やかな上立ち香と、まろやかな旨味が特徴です。
飲みやすい「義侠」と言えば、この一本をおすすめします。
蔵元最高級
長期熟成酒の極みと言える一本は、「義侠 昭和63年酒造年度 精米30パーセント(純米酒)」。
0℃の低温熟成期間は、昭和から平成の現在まで続きました。
淡い黄金色の酒に込められた、繊細な米の旨さと、優美でなめらかな飲みくちがたまりません。
義侠【ぎきょう】~米のうま味とパワーが直に伝わる純米酒~ まとめ
今も昔も変わらない、採算度外視で旨い酒を提供する山忠本家酒造。
男気溢れるこの蔵は、米の旨さと力を込めた、「義侠」ブランド一筋の酒造りを行っています。