本州の北東部に位置する東北地方。
奥羽山脈を境に太平洋側と日本海側に分かれ、青森・岩手・宮城・秋田・山形・福島の6県からなります。
水田が多く、日本の米の約4分の1を生産するほどの穀倉地帯。
酒米に関しても例外ではなく、「美山錦」、「吟ぎんが」、「花吹雪」など個性豊かな品種が栽培され、使用されています。
また、地産米や自作米にこだわりを持つ酒蔵が多くみられることも特徴です。
全体的に積雪量が多い地方であるため、白神山地、北上山系、蔵王山系などの連なりから湧き出る名水にも恵まれています。
さらに、豊富な積雪量や気温の低さは、東北地方の独特な醸造技術の発展にも繋がりました。
日本三大杜氏の一つ、「南部杜氏」は、岩手県を起源としています。
厳しい東北の気候を利用した「長期低温発酵」は、近代的な設備が登場する以前から行われていました。
また、雪室貯蔵で超低温熟成を利用する酒造りも、東北地方ならではの取り組みです。
米、水、技に恵まれた東北地方では、古くから酒造りが行われてきました。
創業500年を越える、秋田の「飛良泉本舗」をはじめ、江戸時代初期から続く老舗酒蔵が数多く残っています。
それは2011年の東日本大震災後も同様で、建物の倒壊や津波による被害、原発事故の影響なども乗り越え、代々受け継いできた蔵を守り通しました。
もちろん、廃業を余儀なくされた蔵元も、一定数存在します。
しかし、規模の縮小や移転をしてでも、酒造りの火を消すまいと奮闘する人々がいるかぎり、東北地方の酒造りの歴史は続いていくのでしょう。
2015年と2017年には、東北の酒を応援してくれたファンに感謝の気持ちを伝えたいと、東北六県の酒造組合が手を取り合い、「東北六県魂の酒まつり」といった催しが行われました。
約130の蔵が持ち寄った500種以上の酒を飲み比べるイベント、次回開催を日本全国のファンが待ち受けていることでしょう。
- 上喜元【じょうきげん】~昔ながらの技法で挑む特定名称酒造り~酒田酒造株式会社
- 出羽桜【でわざくら】~英国でも認められた吟醸酒の先駆け的存在~出羽桜酒造株式会社
- 勝山~伊達家御用蔵!ワインのようなモダンな酒~仙台伊澤家 勝山酒造株式会社
- 北鹿【ほくしか】~伝統の「秋田流生酛仕込み」にこだわる酒造り~株式会社北鹿
- 南部美人~伝統の技と情熱で新時代を築く~株式会社南部美人
- 名倉山【なぐらやま】~極上の「きれいな甘さ」造りに熱意を燃やす~名倉山酒造株式会社
- 喜久水【きくすい】~トンネル地下貯蔵庫で熟成させた銘酒~喜久水酒造合資会社
- 國権【こっけん】~福島県有数の金賞受賞回数を誇る~国権酒造株式会社
- 大七【だいしち】~洞爺湖サミットにも提供された生酛造りと超扁平精米の銘酒~大七酒造株式会社
- 如空~長期低温発酵と10号酵母にこだわり抜いた一本~八戸酒類株式会社
- 新政【あらまさ】~きょうかい6号酵母と木桶仕込みにこだわった酒造り~新政酒造株式会社
- 東光【とうこう】~米沢藩上杉家に愛された酒蔵~株式会社小嶋総本店
- 東豊国【あづまとよくに】~ベテラン杜氏と若き蔵元が手造りする極上酒~豊国酒造合資会社
- 桃川~奥入瀬川の水で仕込んだ柔らかな味わい~桃川株式会社
- 浦霞~鹽竈神社の御神酒酒屋が浦霞酵母で丁寧に造る本物の酒~株式会社佐浦
- 爛漫【らんまん】~テレビCMでもおなじみの美酒爛漫~秋田銘醸株式会社
- 田酒~青森市唯一の酒蔵!日本酒の原点は田んぼから~株式会社西田酒造店
- 白露垂珠【はくろすいしゅ】~庄内平野の恵みが凝縮された芳醇辛口の酒~竹の露合資会社
- 綿屋【わたや】~量より質、「和醸良酒」を心がけ新銘柄に力を注ぐ~金の井酒造株式会社
- 菊の司~岩手県最古の酒蔵~菊の司酒造株式会社
- 豊盃~全国で唯一の豊盃米を丁寧に仕込んだこだわりの酒~三浦酒造株式会社
- 金水晶【きんすいしょう】~地元の水と米と風土を一体化させた酒造り~有限会社金水晶酒造店
- 飛露喜【ひろき】~存在感ある酒を造る地酒ブームの先駆者のひとつ~合資会社廣木酒造本店
- 高清水【たかしみず】~麹を多用し手間隙かけて造り上げる秋田流寒仕込み~秋田酒類製造株式会社