イチゴにシャクナゲ、月下美人にアベリア、花屋のごときラインナップの正体は、銘酒「天吹」を醸す花酵母の数々です。
佐賀に蔵を構える天吹酒造の特徴は、花から採取した酵母で酒を醸すこと。
あふれる香味の日本酒が、飲み手を惹きつけてやみません。
天吹酒造合資会社
蔵の建物自体が国の有形文化財に登録されている、天吹酒造。
元禄年間(17世紀後半~18世紀前半)の創業から、約300年続く歴史ある酒蔵です。
現在も、11代目蔵元の木下壮太郎氏、杜氏として励む弟の大輔氏が、伝統の蔵を受け継いでいます。
天吹酒造と花酵母の出会いは、木下兄弟が東京農業大学に在学していたときのこと。
自然の花から分離させた酵母を使い、醸された酒を口にしたことがきっかけです。
花酵母で日本酒を造る、希少な蔵が誕生しました。
現在、同蔵で扱われている花酵母は、10種類以上。
イチゴ、ナデシコ、月下美人など、文字通り、華やかなラインナップとなっています。
自然からの贈り物とされる花酵母は、扱いが難しいため、扱いには細心の注意が必要となるそうです。
常に酵母と向かい合い、対話を欠かさず、旨い酒を仕込んでいきます。
そうして出来上がった銘酒「天吹」は、平成15年度から12年連続での全国新酒鑑評会入賞(金賞7回、銀賞5回)の実績を持ちます。
特に、アベリア花酵母を使用した「天吹 裏大吟醸 愛山」は、5年連続の金賞受賞歴を持つ一本です。
社名と銘柄に使用されている「天吹」の銘は、蔵の北東にそびえる天吹山に由来したもの。
山の麓で、花酵母によって醸される酒には、ロマンを感じてしまいます。
天吹酒造合資会社
佐賀県三養基郡みやき町東尾2894
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酒蔵見学
天吹酒造では、酒蔵見学を実施しています。
仕込み時期は、10月中旬頃から。
米の収穫が始まる時期です。
酒造りの様子は、11月から3月にかけて、じっくりと見学することができます。
造り期間中外でも、見学の申し込みは可能です。
プレミアム角打ちコース(500円)を申し込むと、大吟醸など、好きな種類の酒が試飲できるのでおすすめです。
また、「大吟醸とはどんなお酒?」「日本酒のかぐわしい香りはどこから?」といった、日本酒に関しての基本的な話や、「花酵母とは?」「なぜ花から酒になるのか?」のような花酵母の酒造りに関する疑問なども、担当者が丁寧に教えてくれます。
国の有形文化財に登録した、歴史的建造物の見学なども合わせて楽しんでください。
見学時間: ①10時~11時30分、②13時30分~16時
所要時間: 60分前後(試飲・買い物時間を含む)
定休日: 土日・祝日
予約: 公式HPまたは電話にて事前予約が必要(名前、人数、希望日時、連絡先を記入)
公式HP: お問い合わせフォーム
電話: 0942-89-2001 (9時~12時、13時~16時に対応)
おすすめの日本酒
天吹酒造のおすすめは、伝統の生酛造りで醸された「天吹 生酛 純米大吟醸 雄町」。
酵母作りから搾りに至るまで、約2ヶ月を必要とする、手間と時間がかかる一本。
自宅で熟成させる楽しみもあるので、よく寝かせて、味わいの深みを育ててみるのも良いでしょう。
口に含むと、シャクナゲ酵母が生み出す、芳しい香りと程よい甘味が心地よく広がります。
後味をキュッと引き締めてくれる酸味も魅力的です。
日本酒Data
銘柄: 天吹 生酛 純米大吟醸 雄町
特定名称: 純米大吟醸酒
使用米: 雄町
精米歩合: 40パーセント
日本酒度: +5.0
酸度: 1.8
アルコール度数: 16.5度
香り 弱・・・★・強
コク 薄・・・★・濃
キレ 弱・・・・★強
味わい 甘口・・・★・辛口
美味しい飲み方
おすすめの飲み方は常温で。
冷やすよりも味わいに深みが出ます。
35℃ほどの、人肌ていどに温めた燗も美味しいです。
上品な旨味と酸味が、肉や脂身のこってり感を引き締めてくれる酒です。
サシの入ったサーロインのステーキと合わせてみると、すっきりと楽しめます。
じりじり炙ったふぐヒレを投入して、ひれ酒に洒落込むにも適しています。
その他おすすめの酒
天吹ブランドで必ず味わっておきたいのが、全国新酒鑑評会5年連続金賞受賞を達成した「天吹 裏大吟醸 愛山(大吟醸酒)」です。
アベリアの花酵母で醸された大吟醸は、ヨーグルトのような甘酸っぱい香りと、まろやかな旨味が特徴となっています。
蔵元最高級
「天吹 純米大吟醸 中汲み(純米大吟醸酒)」は、蔵元最高級の一本。
搾りの真ん中だけを、贅沢に集めて仕上げています。
こちらも、アベリア酵母を使用して、気品溢れる繊細な味わいを実現しています。
天吹【あまぶき】~花の中にすんでいた酵母で造った日本酒~ まとめ
花酵母を使用した日本酒造りに特化した天吹酒造。
花をから抽出した酵母の数は、10種類以上。
花言葉で、今日の一本が選べる日本酒は、「天吹」だけかもしれません。