「達磨正宗」と言えば古酒の蔵元。
ワインなどの外国の酒や、大量生産の日本酒が台頭し始めた時代に、古酒に社運を賭けました。
手間も時間もかけて熟成させた合資会社白木恒助商店の酒は、山吹色に琥珀色、美しい色合いと独特の味わいが自慢です。
合資会社白木恒助商店
白木恒助商店は、天保6年(1835)の創業。
現在も蔵を構える、岐阜県岐阜市で酒造業を営んできました。
「達磨正宗」の銘が誕生したきっかけは、1891年に起きた濃尾地震にあります。
蔵の倒壊に直面するも、先達の努力と周囲の支援によって復興。
その苦難に負けない心を、七転び八起きする達磨に因んで名付けられました。
日本酒を熟成させる古酒造りに取り組み始めたのは、1971年からのこと。
6代目蔵元が、大量生産の日本酒に負けぬよう、蔵独自の酒造りを模索した末に辿り着いた道です。
古酒の醸造方法についての記録がない中、手探りの状態で試行錯誤を続け、現在の「達磨正宗」が完成しました。
社運を賭けて取り組んだ結果、今では「達磨正宗」といえば「古酒の蔵」と答えが返ってくるほど、古酒造りに特化した酒蔵となっています。
白木恒助商店が醸す古酒は、色合いや味わいに独特の個性を持ちます。
米の旨味を溶かし込んだ酒を、さらに熟成させることによって、山吹色から真紅といった濃い色合いへと変化します。
また、じっくりと時間をかけることで、濃醇で深い味わいを纏うようなります。
「達磨正宗」以外では味わえない、逸品揃いの古酒ですが、中でも注目したいのは海中熟成酒プロジェクトで醸された一本。
南伊豆の海底15メートルで熟成させた酒は、波の揺りかごの中で目覚めの時を待っています。
合資会社白木恒助商店
岐阜県岐阜市門屋門61
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酒蔵見学
達磨正宗では、酒蔵の見学も受け付けています。
昭和の酒が、静かに眠る様子を見に行ってみましょう。
また、併設するギャラリー(きき酒室)では、さまざまな古酒に舌鼓を打つことができます。
もちろん、購入もこちらで。
営業時間: 9時~17時30分
定休日: 日曜日・祝日
予約: 酒蔵見学は事前予約を推奨します。
※ギャラリーでのきき酒は予約不要。
お問い合わせなどは、公式HPから
※出典:写真は公式HPより
おすすめの日本酒
達磨正宗を代表するのは、「清酒 達磨正宗 ビンテージ古酒」。
実に数十年もの時間をかけて熟成されたビンテージの一本は、イギリスのIWCゴールドメダルを受賞しています。(1979年もの)
味わいも色も、とろりとした印象の酒。
口に含むと、繊細でなめらかな舌触りと、甘く重厚な旨味が感じられます。
光を受けて輝く、濃いトパーズの色合いも美しい酒です。
日本酒Data
銘柄: 清酒 達磨正宗 ビンテージ古酒
特定名称: 純米酒
使用米: 日本晴
精米歩合: 70パーセント
日本酒度: ―
酸度: ―
アルコール度数: 17~18度
香り 弱・・★・・強
コク 薄・・・・★濃
キレ 弱★・・・・強
味わい 甘口★・・・・辛口
美味しい飲み方
低温でも燗でもなく、常温で飲んでほしい一本。
グラスに注いで、ゆったりと、色合いと深い味わいを堪能しましょう。
洋酒のように楽しめる古酒なので、ナッツやドライフルーツ類といった、日本酒としては斬新な組み合わせができます。
ナツメヤシ(デーツ)のドライフルーツとの相性が抜群です。
チョコレートや、チーズ類も捨てがたい。
その他おすすめの酒
達磨正宗 十年古酒
蔵元が「達磨正宗の王道」と自負する酒です。
色合いは、透き通るトパーズ。
10年熟成させた古酒を、ブレンドすることで生まれた一本は、ドライ感が持ち味です。
膨らみのある香りと甘味のバランスが楽しく、温度帯によって異なる魅力があります。
達磨正宗 熟成三年
こちらは、熟成3年以上の酒をブレンドしたものです。
初めて「達磨正宗」の魅力に触れる人に勧めたい一本。
山吹色が目にも美しく、深いながらもすっきりとした飲みくちで、熟成酒初心者でもグイグイいけます。
達磨正宗【だるままさむね】~色も味わいも個性的な熟成古酒造りの雄~ まとめ
吸い込まれるような色合いが美しい、「達磨正宗」の古酒。
その味わいは、熟成酒にうるさい海外の人々も魅了する程の美味しさを誇ります。