きょうかい6号酵母と秋田のお米にこだわった酒造りを行う新政酒造株式会社。
伝統的製法を守りながらも、新しい試みを続けています。
新政酒造株式会社
新政酒造株式会社は、嘉永5(1852)年の創業で、この頃は日本の政治体制が大きく動いた幕末から明治維新の時期でした。
銘柄「新政」は、明治維新政府が施政の大綱とした「新政厚徳」から採用しており、「厚き徳をもって新しい政(まつりごと)をなす」という意味があります。
5代目佐藤卯兵衛は、当時醸造を学ぶ最高峰であった大阪高等工業学校で学んだ後、醸造指揮者として家業に従事しながら、酒質向上のための研究にも力をいれていました。
そして85年前、摂氏10℃以下のごく低温でも発酵を行うことができる新酵母、きょうかい6号酵母を発見したのです。
きょうかい6号酵母の発見を通じて、寒冷地による酒造りと吟醸製法を確立した5代目佐藤卯兵衛は、天才醸造家として名を馳せました。
きょうかい酵母は現在19号まで存在していますが、1~5号と12号は亡失しており、現役酵母であるきょうかい6号酵母は、現存する最古の市販清酒酵母です。
きょうかい6号酵母は、天然由来の優良野生酵母であるため、特に生酛系酒母向きと言われています。
酒造りへのこだわり
酒造りのこだわりは多数あります。
まず、地域性を尊ぶためすべて秋田県産の酒米を使用しており、酵母はきょうかい6号のみを採用し、酒母には天然の乳酸菌を活用する生酛造りのみで行っています。
また、一般的に精米歩合によって名称が分けられる日本酒ですが、精米歩合のみが酒の価値を決めるものではないというポリシーから、新政酒造株式会社ではいかなる精米歩合であろうと全て「純米酒」の表記をしています。
さらに、安全醸造のために使われる添加物については、本来ラベル記載義務はありませんが、醸造における純粋性を尊ぶため、あらゆる醸造用添加物は使用していません。
現在は8代目代表・佐藤祐輔氏を中心に若いスタッフが集結、仕込みに杉製の木桶を使うなど伝統的製法を重視しつつ、挑戦的な酒造りを進めています。
現在所蔵している杉の木桶は、昔ながらの吉野杉で作られており、将来的にはすべての酒を木桶で仕込むことも考えています。
新政酒造株式会社
秋田県秋田市大町6-2-35
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おすすめの日本酒
「やまユ 酒こまち」は、樹齢130年以上の杉の木の新桶で醸されたこだわりの一本です。
フレッシュさとコク、奥深い味わいを兼ね備え、新桶の新緑のような香味が感じられます。
旨みは柑橘系果実のごとく、甘酸のバランスが非常に良いです。
また、お米の味わいを受け止めるかのような深い木のニュアンスが、隠し味のように存在しており、日にちが経つにつれ木香らしい独特の旨みも感じてくるでしょう。
それはブルゴーニュの高級白ワインにも匹敵するような、日本酒の新しい高級感を感じさせてくれますよ。
日本酒Data
銘柄: やまユ 酒こまち
特定名称: ―
使用米: 酒こまち
精米歩合: 麹米:40%、掛米50%
日本酒度: +1
酸度: 1.9~2.0
アルコール度数: 15.2~15.4度
香り 弱・★・・・強
コク 薄・・★・・濃
キレ 弱・・・★・強
味わい 甘口・・★・・辛口
美味しい飲み方
常温から、やや人肌燗で飲むといいでしょう。
常温になるとガスが弱くなり、味わいはしっかりしているのに喉越しはよくなり、驚くほど飲みやすくなります。
白身魚の刺身など、酒の味を邪魔しない淡白で新鮮な食材と一緒に楽しむと、よりお酒が進みます。
その他おすすめの酒
NO.6 X-TYPE
6号酵母を使用したNO.6シリーズの最高峰酒。
純米大吟醸ならではの独特のフルーティーさが特徴です。
低温体では口当たりは強めですが、常温になるとまろやかな口当たりになってきます。
甘みも十分にあるため、食事に埋没することはないので、濃い料理にも合います。
蔵元最高級 生酛・木桶仕込 コスモスラベル
秋田県産の酒米・改良信交を使った純米大吟醸酒。米の甘味にまるでビターのような木桶の香味が特徴。
フルーティでありながら酒の旨さが伝わってくる重みをもつ、ふくよかな味わいです。
新政 ~6号酵母と木桶にこだわった酒造り~ まとめ
従来の方法や考え方にとらわれることなく、新たな視点から伝統を守りそして進化させている新政酒造株式会社。
今後の更なる発展に期待が高まります。