日本を訪れる外国人観光客も増え、日本から海外へと移住する人も、最近では珍しくなくなりました。
世の中の流れは、グローバル化にありますが、そんな時代だからこそ、ローカリズムという概念が大切になってくるのではないでしょうか。
ローカリズムについて、考えてみましょう。
ローカリズムとは
ローカリズムは、日本語では、「地域主義」と訳される思想のことです。自身が生まれ育った地域や故郷を第一と捉え、尊重する考え方のこととなります。
グローバリズムと対立するものとして、しばしば取りざたされています。
ローカリズムの意味を調べてみると、辞書によっては「郷土偏愛主義」と記されていることがあります。
地域愛に偏るあまり、グローバル化を排除するという意味に解釈することができます。
そのため、ローカリズムを謳う人は、グローバル化を否定していると捉えられがちです。
ローカリズムはグローバル化に必須
しかし、『ローカリズム原論(内山節著)』によると、ローカリズムはグローバル化を否定するものではないことが説明されています。
ローカリズムを主張する人々は、まずは、自身が生きる場所をしっかりと理解し、根を張ることが、本当の形で、世界と繋がるために必要なことだと捉えているためです。
グローバル化とは、悪く捉えてしまえば「世界が同じになる」ということだと考えられます。
極端な例を挙げてみれば、シャツとズボンという服装ですね。
世界中で当たり前の服装となっています。
しかし、シャツとズボンが普及するにつれて、日本の着物やインドのサリーといった民族衣装は、失われてくるようになりました。
ここでのポイントは、民族衣装を大切にしましょうということではなく、民族衣装が出来上がった背景を大切にしましょうということです。
人の持つ文化は、地域の自然や、長年の習慣の積み重ねによって完成されたものです。
自身の基盤となる場所で、しっかりとした暮らしを確立すること。
そして、地域に閉じこもるのではなく、基盤を忘れずに世界と繋がることこそが本当のグローバリズムなのではないでしょうか。
このような流れが、ヨーロッパを始めとした世界各地で、広がりつつあります。
ローカリズムこそが世界をひとつにする
悪い意味でのグローバル化が進むにつれて、私たちは画一的な社会システムに管理されるようになってきました。
経済面では、市場経済というシステムから逃れることができません。
こうしたシステムに捕らえられることで、人は無力化していくのだと考えられています。
ローカリズムを主張する人々は、そうしたシステムに反撃しようとしているのです。
グローバル化によって、地域の風習や伝統を失うのではなく、地域独特のものこそを価値あるものとしてグローバル的に進出していく考えです。
近年で成功している例を挙げれば、日本が誇る「日本酒」です。
かつては、ワインやウイスキーに劣るものと、日本でも捉えられていた時代がありました。
しかし、地域独特の魅力を活かした日本酒造りを失わなかったおかげで、いまや世界からも注目される酒となっています。
システムに影響されない地域の魅力を守り、多数のローカリズムの集合体として、それぞれの形で世界とつながり、変えていく。
これこそが、本当の意味で世界をひとつにすることなのではないでしょうか。
日本酒とローカリズム|世界を1つにしグローバル化を生き抜く まとめ
ローカリズムは、世界とのつながり方について見直し、グローバル化を生き抜く方法を見出すものだと考えられますね。
地域独特の魅力が消えた世界では、海外旅行へと出向く意味もなくなるのかもしれません。
どこへ行っても同じでは、楽しみもなくなってしまいます。