一般的に、夏場は日本酒の消費量が落ちる時期と言われています。
そのため、いろいろな蔵元が工夫を凝らして夏の時期にぴったりの日本酒を投入してきています。
2007年ごろから「夏酒」という語が使われるようになり、今までの日本酒とは異なる目新しいコンセプトの商品が開発されています。
さらには、新しい飲み方の提案だったり、夏ならではのイベントを催したりするなど、夏場でも積極的に日本酒をアピールしています。
女性にぴったりの夏酒
例えば、灘、伏見、伊丹の蔵元11社により「日本酒がうまい!」推進委員会が立ち上げられました。
ここでは、浴衣姿の女性を起用して「和」のテイストを基とした涼しげなイメージを伝えつつ、ロックで飲む日本酒とほんだしを用いた冷やし料理とのコラボレーションを展開しています。
さらに、若者層を狙った様々な企画もあり、7月には「日本酒ロックフェスティバル」というイベントが大阪で開催されました。
また、日本酒造組合中央会では「日本酒クールスタイル」を展開しています。
ここでは、主として小売店や飲食店の従事者を対象としたカクテルレシピのセミナーを開催したり、Webサイトからカクテルレシピを無料でダウンロードできるサービスを提供したりしています。
日本名門酒会では「一年52週の生活提案で年間を通しお客様づくりを」というコンセプトで「夏の生酒」を大々的に展開しています。
また、各酒販店や飲食店においても「夏酒」をテーマとしたメニューの展開や、フェアが催されるようになっています。
夏酒の特徴とおすすめの飲み方
暑い夏はスッキリした冷たいお酒が嗜好される時期でもあり、日本酒はなかなか苦戦していたのですが、前述のように常識に捉われない新たな発想の日本酒が次々と開発されています。
例を挙げると、アルコール度数が15%前後の原酒、酸味に強い特徴のあるお酒、スパークリングタイプ、低アルコールタイプ、軽い飲み口でありながらもインパクトのあるお酒、生原酒のロックやソーダ割りなどのカクテル系などです。
この他にも夏酒の飲み方は色々。
冷やして飲む方が多いと思いますが、日本酒を冷やすにもその日本酒に合った適温があり、「雪冷え(ゆきびえ)」 は5℃、「花冷え(はなびえ)」は10℃、「涼冷え(すずびえ)」は15℃と呼び名が決まっています。
また、以前は氷を入れて飲むオンザロックが主流でしたが、近年では瓶ごと冷凍庫に入れて凍らせて飲む「みぞれ酒」という飲み方がおすすめでキリッと冷たく飲める新たな日本酒の楽しみ方のひとつです。
加えて、夏は陽気で楽しいものに人気が出ることから、斬新なラベルデザインやボトルカラーが用いられることも増えてきました。
夏場に甘酒!?~「夏にごり」と「みぞれ酒」
夏酒は、フルーティーな香りが爽快な純米吟醸酒以外にも甘酒を思わせる「夏にごり」と呼ばれる濁り酒も酒類が豊富です。
最近では、甘酒は冬のイメージがありますが元々、甘酒は米麹と酒かすの栄養素により、夏バテ防止として夏の定番健康ドリンクでした。
このことから夏場に「にごり酒」を飲むことは理にかなっているといえます。
また、この「夏にごり」を「みぞれ酒」にして飲むと更に爽快感と味わいが増し、日本酒の新たな魅力に驚くこと間違いなしです。
まとめ
暑い夏の時期こそ、日本酒が面白くなっているといえるでしょう。
淡麗な日本酒をきりりと冷やして飲むのも良いものですが、各蔵元の工夫が感じられる「夏酒」も楽しんでみてはいかがでしょうか。