長期低温発酵~醪(もろみ)の発酵度合いとその特徴~

日本酒造りは、「一麹(いちこうじ)・二酛(にもと)・三造り(さんつくり)」と昔から言われています。

麹造り、酒母造り、醪(もろみ)の仕込みといった重要な工程の順番ですね。

今回は、三番目の工程である、醪の仕込みについてフォーカスを当ててみたいと思います。

 

醪の三段仕込み

醪の仕込みは、繊細な作業。酵母の密度を安定させ、雑菌の繁殖を防ぐために、三段仕込みという手法が用いられます。

原料を一度に仕込むのではなく、蒸米や麹を「初添・仲添・留添」の3回に分けて加えていく方法です。

  • 初添(はつぞえ):仕込み1日目に、水、麹、酒母、掛米をタンクに移動さけかき混ぜる。2日目は、酵母の量を増やすための「踊り」という工程で様子を見る。
  • 仲添(なかぞえ):3日目に、初添の約2倍量の蒸米、麹、水を投入する。
  • 留添(とめぞえ): 4日目に、酵母の様子を見計らいながら、仲添の約2倍量の原料を投入する。

三段仕込みには、酵母の活性を保ったまま発酵が進められるため、アルコール生成の効率も良くなるというメリットがあります。

さらに、初添、仲添で慎重に増やされていった酵母は、留添の段階で、自らが生成したアルコールで死滅するというサイクルが出来上がっています。

 

醪の発酵

醪は、通常20~30日の発酵期間を必要とします。

この期間中に、注意しなければいけないのが温度管理。

発酵中の醪は熱を発しますが、高すぎる熱は、雑味のもととなってしまいます。

一般酒の場合、8~15度での管理が多いようです。

これが吟醸酒になると、長期低温発酵という手法が主に。

5~10度という低温で、40日という発酵期間になることもあります。

蔵人は、醪の変化を注視しながら、微妙な温度調節をしていきます。

また、軟水を仕込み水として用いている蔵でも、長期低温発酵が必須。

酵母の栄養となるミネラル分が少ない軟水では、発酵が緩やかになるため、適しているのです。

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泡で発酵を見極める

酒の発酵状況を確認するために、目安のなるのが、醪の表面に現れる泡。

発酵の進行に応じて、次のような特徴の泡が見られます。

  • 筋泡:留添から2~3日後に、醪に浮かび上がる、数本の筋のような泡。発酵の始まり。
  • 水泡:留添から3~4日後に現れる、白くて軽い泡。醪の糖分がピーク。
  • 岩泡:留添から約5日後に表面にでる、岩のような形の泡。醪の糖化が進行。
  • 高泡:留添から約10日後に、岩泡が、より大きく高く盛り上がる。発酵がピーク。
  • 落泡:留添から約12日後に、泡の盛り上がりが落ち着く。アルコールの作用で沈下。
  • 玉泡:留添から約2周間後、麹の表面にコロコロとした泡が浮かぶ。発酵の最終段階。

玉泡は、大・中・小とサイズダウンしていき、最後に消えていきます。

「地」と呼ばれる状態で、醪の発酵の全行程が終了したことを示します。

玉泡

玉泡

 

醪(もろみ)の発酵度合いと長期低温発酵の技術 まとめ

温度計もなく、菌の繁殖の仕組みも知られていなかった時代から、微細な変化を手がかりに発展してきた日本酒造り。

先人の知恵に脱帽ですね。

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Kitagawa

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