樽酒

1人の酒と99人の水という民話をご存じでしょうか。
聞いたことがない方でもこの話を読めば納得していただける深層心理に関わる面白い話です。

韓国の徴用工問題で日本の国民感情が爆発し、韓国のグループ歌手BTSの原爆Tシャツが追い打ちをかける形となった嫌韓意識も同様の流れともいえます。
BTSにおいては嫌韓感情が頂点に達し、他の韓国Kポップグループにも波紋が広がる勢いです。

自分がいまどの位置にいるのか、これは誰しもが知っておきたいことですが、これをうまく利用するとで今まで進展のなかった事業が達成できるかもしれません。
また、ビジネスだけでなく、色々なことに応用できるので、知っておいて損はないと思います。

 

1人の酒と99人の水

樽酒とある村祭りでのことです。
祭りに欠かせないのが酒。
しかし、この村には皆に振る舞う酒がありませんでした。
そこで、村人全員から少しずつ酒を集めれば祭りができるということになり、村人ひとりひとりが酒を持ち寄ることになりました。

一人の村人は「自分ひとりくらい水を持って行っても誰も気づかないだろう」という考えから、ズルをして酒の容器に水を入れて持っていきました。
そして、全員から酒を集めると、樽開きが行われ、村人皆で酒をすすります。
しかし、この酒は水の味しかしません。

「自分ひとりくらいなら」と村人ひとりひとりが考え、皆ズルをして水を持って行ったので、酒を集めるはずが水しか集まらなかったという話です。

 

酒でもない水でもない

多数派と少数派この話の中で、水の味しかしないとなっていますが、本当に全部水だったのでしょうか。
99人が酒を持ってきて、1人が水だったら酒の味がしますよね。
逆に99人が水を持ってきて、1人だけがルールを守って酒を持ってきても水の味しかしないでしょう。

たとえ村人たちに呼びかけたとして70人が真面目に酒を持ってきて、30人がズルをして水を持ってきたら、それは酒の味はしますが、薄いのです。
50人の酒と50人の水ではどうでしょう。
こう考えてみるとどこまでが酒でどこまでが水かわからなくなりますね。
たった1つの真実が圧倒的多数にかき消されて嘘になってしまうということです。

これを酒と呼ぶか水と呼ぶかは、圧倒的多数が必要になります。

 

過半数を超えると逆転する

ここからが人間の深層心理ともいえる話です。
村人に呼びかける時にまずは過半数を目指すのです。
1人や10人くらいがルールを守っていても残りの圧倒的多数は動じません。
皆が嘘をついているのだから自分が嘘をついていても大丈夫という考えになりませんか?

しかし、過半数の50人を超えるとどうでしょう。
過半数を超えるとたちまち不安になります。
70人、80人とルールを守る村人が多くなるたびに、少数派になった嘘つきは恥ずかしくなります。

逆転ここで真実と嘘が逆転するのです。
水の味も同じです。
それが真実であっても嘘であっても、酒であっても水であっても、真実が過半数を超えた時点でもう一方の嘘は「皆が嘘をつかないなら私も嘘をつかない」というように嘘つきを軽蔑するようになるのではないでしょうか。
そして、過半数を超えると一気に100人まで急増します。

あなたのやりたいことに賛成してくれるひとが居なくて、反対者が99人でも、説得する過程で過半数を説得できれば、一気に逆転し、100人まで達する可能性があるともいえます。
これは大変面白い現象で、何か物事を成し遂げたいときにはこれを利用する方法が近道になります。

 

1つの穢れが全てを破壊する

弾圧さて、酒と水の話に戻りましょう。
村人たちが持ち寄った「酒?水?」は、厳密に言えば99人の水のうち、たった1人の酒が入ったために、もうそれは「純粋な水ではない」とも言えます。
例えば、伝統芸能でたった1つの事を今風に変えるだけで、それはもう伝統芸能ではないということです。
宗教なども同じような考えをもつものも多く、たった1つの穢れにより全てが台無しになってしまうものもあります。
つまり、たった1つの変更で本物ではなくなってしまうということもあるのです。

これはその時々によって結果が異なるので実に面白い話だと思います。

この「1人の酒と99人の水」の話はとても奥深く、人間の習性や深層心理に触れることのできる話といえるでしょう。
これを利用して成功するのも良し、戒めとして心に刻むも良し。

世の中は私たち一人一人の集合体から成っていると感じることのできる良い話だと私は思います。

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