ひやおろしとは、冬場に造られた日本酒を、春、夏を越えて熟成させ、秋口に出荷するもののことです。
タンク内で貯蔵された日本酒と外気温がだいたい同じになる9月から11月頃にかけて出荷されてゆきます。
そのため、ひやおろしは「秋あがり」や「秋晴れ」と呼ばれることもあります。
ひやおろしの特徴
通常は2回の火入れを経て出荷される日本酒ですが、ひやおろしの場合は貯蔵する前の1回しか火入れを行なわない生詰めという技法が用いられています。
ひやおろしは「冷やおろし」、「冷卸」とも書き、その語源は、冷やは「生」から、おろしは「出荷」からきているようです。
味の特徴としては、半年間ほど熟成させた結果として飲み口はよりまろやかに、味わいはより深くなっています。
魚介類や肉類など脂の乗った秋の食材とよく合うだけでなく、お燗にも向くので、秋ならではの日本酒として人気があります。
ひやおろしの起源
ひやおろしの起源には、いくつかの説があります。
江戸時代からひやおろしそのものは醸造されてはいたのですが、保存上の問題のためにあまり流通せず、蔵元の近くに住む人しか飲めない貴重品であったと言われています。
さらには、兵庫県灘地方の宮水と言われる硬水で仕込んだ純米酒は、それなりの熟成期間を設けないと荒くて飲みにくいものの、熟成により非常に素晴らしい酒質に変化するといわれており、戦前の兵庫県灘地方で生産される純米酒に多く付けられた呼び名であったとも言われています。
いずれにしても今のように人気が出たのは、今から30年ほど前に、卸売業を営む株式会社岡永(日本名門酒会)が、秋の限定品としてこのタイプのお酒を展開したことがきっかけとなったようです。
ひやおろしの種類
ひやおろしは、いわゆる醇酒といわれるタイプで主に純米酒が主力ですが、最近では大吟醸酒、吟醸酒、本醸造酒、さらには無濾過生原酒系のものまで登場しており、いろいろなタイプの味や香りを持つ商品が販売されています。
吟醸香の高い薫酒タイプのものや、軽快でシンプルな爽酒タイプのもの、中には完全に熟成(古酒)タイプのものさえあります。
さらに、ひやおろしの特徴は火入れ技法が生詰めで秋出荷であることなのですが、酒税法や酒類業組合法、公正競争規約などで定められている法的な規定はありません。
そのため、2回の火入れを行なったひやおろしや、火入れをしない生酒のひやおろしがあったり、時には製造年月日が秋というだけで、ひやおろしと命名されている商品さえあるようです。
ひやおろしイベント情報
ひやおろし解禁日には日本各地で様々なイベントが行われています。
その中で少しご紹介したいと思います。
ひやおろしの日
長野県酒造組合が同組合に加盟する酒造元85社に「ひやおろし」の一斉解禁の協力を要請し、2016年度の協力社は43社にものぼる。
全国組織の日本酒造青年協議会も、同組合の「9日解禁」を採用し、全国で「ひやおろしの日」は定着しつつあるといいます。
9月9日(金) 終日
秋田一うまいひやおろし・秋上がり決定戦
秋田県中から集めた「ひやおろし(秋あがり)」をお客様が試飲し、ブラインド越しに点数をつけて秋田県で一番うまい「ひやおろし」を決定するイベントです。
さてさて、秋田一の「ひやおろし」ランキングやいかに!
9月10日(土) 13:30 受付開始
14:00 利き酒開始~17:00頃まで
参加費:6000円(お酒と食事込み)
申し込み:TEL:03-6269-9277
場所:東京都千代田区丸の内1-9-1
蔵元来店試飲会 車坂・日本城
料理のうまさが何倍にも膨れ上がるという最高の食中酒「車坂」のひやおろしなど9酒類の酒を楽しむ試飲会です。
試飲会当日は、映画「一献の系譜」に女性杜氏役として出演した藤田晶子杜氏を招いて酒造りのお話を聞かせていただけます。
9月10日(土) 12:00〜14:00頃まで
一部 12:00~13:50
二部 15:30〜17:20
参加費:¥3,500(税込)
申し込み:八咫03-3464-0434
定員:15名様(各回)
場所:純米酒専門八咫『渋谷店』
人気のひやおろしの銘酒
楽天で一足先に「ひやおろし」を購入するにはこちらから
鳳凰美田 冷卸(ひやおろし) 純米吟醸 山田錦
陸奥八仙 特別純米 緑ラベル ひやおろし
赤武 AKABU 純米 ひやおろし
一ノ蔵 特別純米・生詰 ひやおろし
羽根屋 純米吟醸 ひやおろし
雪の茅舎 山廃純米 ひやおろし
雪の茅舎 純米吟醸 ひやおろし
水芭蕉 純米吟醸 ひやおろし 季節限定品
玉乃光 純米吟醸 ひやおろし
楯野川 純米大吟醸 源流 冷卸(ひやおろし)
あさ開 2016特別純米 ひやおろし(秋あがり)
華吹雪 純米吟醸 ひやおろし(秋あがり)
まとめ
このように状況が混沌としているため、一律にひやおろしはこうだと語ることは難しくなっています。
それで先入観を持たずに、各蔵元のお酒を実際に味わってみるのがもっとも手っ取り早い方法かもしれません。
また、酒販店などでは詳しい店員に味や香りについて聞いてみると、参考になる情報が得られることでしょう。