日本酒は清酒とも呼ばれますが、酒税法上の定義では、米と麹と水を主原料とする醸造酒のことです。
飲料にアルコールが1%以上含まれると法律上はお酒となります。
このお酒も大きくは4つに分類されます。
混成酒類、蒸留酒類、醸造酒類、発泡性酒類の4つです。
原料を発酵させてアルコール飲料を作るタイプのものが醸造酒で、日本酒もこの部類です。
酒税法における酒類の分類
酒類:アルコール分1度以上の飲料
混成酒類
合成清酒、みりん、甘味果実酒、リキュール、粉末酒、雑酒
蒸留酒類
連続式蒸留焼酎、単式蒸留焼酎、ウイスキー、ブランデー、原料用アルコール、スピリッツ
醸造酒類
清酒、果実酒、その他の醸造酒
発泡性酒類
ビール、発泡酒、その他の発泡性酒類(ビール及び発泡酒以外の酒類のうちアルコール分が10度未満で発泡性を有するもの)
その他の発泡性酒類に該当するものは除く
清酒に関する規定
日本酒を名乗るには、酒税法第3条第7号に定められている清酒に関する規定をすべて満たしていなければなりません。
その規定を見ていくと、まず主原料は米、米こうじ、水でなければなりません。
清酒かすやその他の政令で定められる原料を加える場合には、それらの合計の重量が米と米こうじの重量の半分以下でなければなりません。
さらに、そのような原材料を発酵させた後、濾すことが求められています。
アルコール度数についても22度未満と定められています。
つまり、米と米こうじを主原料として必ず使い、発酵させたものを必ず濾さなければ日本酒ではないということになります。
このように、日本酒の主原料自体はごくシンプルなものです。
したがってその質は非常に重要で、清酒の出来を左右すると言ってもよいでしょう。
ではその原料である米、米こうじ、そして水について取り上げてみましょう。
酒造好適米
まずは米からです。
実は、日本酒の原料として使われる米は、一般的な食用米とは品種が異なります。
それらは、酒造好適米または酒米と呼ばれ、もっぱら酒造りのために使用される品種です。
一般的な食用米との違いは、米の中央部分(この部分は心白と呼ばれます)の体積が大きくなっていることです。
酒米は非常に高価で、一般的な食用米の20倍ほどが相場です。
この酒米にもいろいろな品種があり、どの酒米を使うかによっても清酒の味は変わってきます。
最近はどの酒米を使っているかを表示している銘柄も増えていますから、酒米に注目して日本酒を選ぶのもまた面白いと言えるでしょう。
米麹【こめこうじ】の働き
米こうじは、米を蒸し上げてそこに麹菌という菌類、つまりカビの一種を繁殖させたものです。
単にこうじと呼ぶこともあります。
この米こうじがないとお酒はできません。
そもそもアルコールは糖分と水を酵母の働きで分解することによって生み出されます。
しかし日本酒の原料である米には糖分がほとんどないため、米こうじの中の麹菌によって米にたくさん含まれているでんぷんを糖分に分解します。
このように、米こうじの働きにより発酵が進み、美味しいお酒ができるのです。
日本酒造りに適した水
最後に水ですが、水質は非常に重要です。
日本酒の成分のおよそ80パーセントは水分なので、水質によって日本酒の味が大きく変化するためです。
実際、ほとんどの酒蔵は上質な水が利用できる水源地の近くに位置しています。
鉄分やマンガンといった成分が少ないほど味や香りが劣化しにくく、日本酒造りに向いていると言われています。
また、硬水の場合はどっしりとしてキレのいい日本酒に仕上がるとも言われています。
日本酒造りに最も適しているのは日本の上質な水です。
このため、美味い日本酒は出日本でしか造れないといわれているのです。
日本各地で造られている日本酒
このような酒蔵は、規模の違いはありますが全国で1,000以上あると言われています。
北海道から沖縄県まで日本のいたるところに酒蔵は存在し、その土地ごとの風土や水を生かして日本酒を造っています。
最も古い酒蔵は創業800年以上を数え、江戸時代から続く歴史のある酒蔵も多くあります。
酒蔵の所有者は蔵元、そこで働く人々は蔵人と呼ばれています。
そして蔵人たちを束ねるのが杜氏です。
杉玉は新酒の目印
一般的に酒造りは秋に始まり、冬の最も寒い時期に最盛期を迎え、春にはほぼ終了します。
造り酒屋の軒先に杉の葉をボール状にしたものが飾られていることがありますが、これは杉玉または酒林と呼ばれるもので、かつては新酒が完成した時の目印だったようです。
まとめ
最近の酒蔵では、敷地内に直売店があったり工場を見学できるようになっていたりするところが増えています。
試飲できるところも多く、酒蔵自慢のお酒を実際に味わうことができるため、たいへん好評です。
機会があればぜひ酒蔵を訪ねてみることをおすすめします。