酒米

日本酒に必要不可欠な「米」。

酒造りの工程は「一麹・二酛・三造り」という工程に分かれていますが、それぞれの段階で使用される米の名称は、ご存知でしょうか。

一概に日本酒の米といっても、その使われ方は、さまざま。

「麹米」や「掛米」など、違いを見てみましょう。

 

米の名称は

表示ラベル

酒造りで、主に使用される米の名称は、「麹米(こうじまい)」と「掛米(かけまい)」です。

これは酒造りに使用される「酒造好適米」と「食米」のような区別ではなく、酒造りの段階によって分けられた呼び方です。

したがって、麹米に酒造好適米の山田錦を使用し、掛米に地元産食米を使用するなんていうこともあります。

また、使用米と同じように「麹米50パーセント」、「掛米55パーセント」というように精米歩合も異なるものもあります。

さて、麹米と掛米の話に戻しますが、全体的に使用される米のうち、「麹米」に使われるのが、約2割。

「掛米」として使われるのが、約7割です。

この他に、約1割といった少量が、「酒母米(しゅぼまい)」として使われます。

酒造好適米について詳しくは
⇒ 日本酒の種類は9つに分かれる
⇒ 酒造好適米を知る ~地域別の主な酒米と特徴~

 

麹を育てる「麹米」

日本酒造りの第一段階、米麹を作るために使用する米を、「麹米」と言います。

蒸し米にして、種麹をふりかけ、麹菌を増殖させるための米です。

麹米によって育まれた麹菌は、でんぷんを糖化させる役割を果たします。

麹菌が分泌する酵素が、でんぷんをブドウ糖に分解。

このブドウ糖を、酵母が食べることで、アルコールが出来上がっていくのです。

麹米に適しているのは、心白の大きい米、「酒造好適米」。

心白にある隙間が、麹菌の繁殖に良いのだとか。

 

醪に投入する「掛米」

日本酒の第2段階で、醪(もろみ)に投入するための米です。

麹米とは異なり、米を蒸した後に冷ましただけの、シンプルなもの。

数回に分けて、醪に直接まぜこんでいきます。

すでに発酵している状態の醪に混ぜこまれた掛米は、ゆっくりと溶けて酒になるのです。

掛米を一度に大量投入しない理由は、醪の酸性が薄まってしまい、雑菌が繁殖しやすくなるため。

「三段仕込み」という、日本酒造りの基本的な手法です。

ちなみに、掛米には、一般米が使われることもあります。

酒造好適米を使わないことで、コストが抑えられるためです。

 

酵母を培養する「酒母米」

全体の約1割の米は、酒母を作るための酒母米として使用されます。

麹米、水、酵母、乳酸などと混ぜて、酵母を培養するためのもの。

ごく少量の使用ですが、良質の酵母を育てるための、大切な米です。

 

麹米・掛米・酒母米とは~造る段階で使い分けられる酒米~ まとめ

日本酒造りの、それぞれの段階で使い分けられている「米」。

どの段階で、どのようなタイプの米を使うのかで、味に広がりが出ます。

なかなか違いがわかるものではないと思いますが、使用された米の種類や用途はラベルの裏に記載されているので、チェックしておくと酒の楽しみ方や会話も広がるのではないでしょうか。

この記事が気に入ったら
いいね ! しよう