日本酒の良さのひとつは、どんな料理にも合わせることができることです。
ですから食前酒や食後酒としてだけではなく、いわば食中酒としての楽しみがあります。
白いご飯は、ほとんどどんなおかずにもよく合います。
それと同様に、お米から造られる日本酒も、和食のみならず中華や洋食など、ありとあらゆる料理に合わせることができます。
多彩な料理の味わいを引き立てる食中酒として抜群の適性を誇るのが日本酒なのです。
日本酒を飲むことにより食卓の料理はいっそう味わい深くなり、美味しい料理を食べることでいっそう盃が進みます。
何とも素晴らしい相乗効果です。
料理に合わせて選ぶ日本酒
もちろん、料理に合わせて日本酒を選ぶ必要があります。
日本酒と一口に言ってもその種類は本醸造酒、特別本醸造酒、純米酒、特別純米酒、純米吟醸酒、純米大吟醸酒、吟醸酒、大吟醸酒、そして普通酒の合計9種類もあります。
それぞれの特別名称酒について詳しくは「日本酒の種類は9つに分かれる」を参照してください。
さらには原料となる酒米や使用する酵母、仕込み水の質、杜氏の技術や熟成の度合いなどの様々な要素が加わって、日本酒の風味は無限ともいえるほど多様性に富んでいます。
それぞれのお酒の中で甘味、酸味、辛味、苦味、渋味のいわゆる五味が複雑に絡み合うのです。
この多様性があるからこそ、四季折々の料理に見事に合わせることが可能になります。
つまり、どんな料理をいただくにしても、ぴったり合う日本酒を見つけることができるというわけです。
料理に合わせた日本酒の選び方のコツ
例として魚料理を考えてみましょう。
お刺身の場合は控えめな香りの純米吟醸酒や純米酒などの淡麗な味わいのものがよく合います。
酸味と甘みが強めの純米吟醸酒は刺身には合いませんが、オリーブオイルや酢を用いたカルパッチョやマリネにはぴったりです。
脂の乗ったブリの照り焼きのような料理であれば、濃厚な味わいを持つ純米酒のお燗で旨味の相乗効果が得られます。
このように、さっぱりした味わいの料理には淡麗な薫酒や爽酒タイプのお酒を、濃い味付けの料理には濃厚な熟酒や醇酒タイプのお酒を合わせるのが失敗の少ない基本的な手法です。
もちろん醇酒タイプのお酒ひとつをとってもいろいろな性格のものがありますので、料理によって選定するとよいでしょう。
また、お酒のタイプ別分類に関しては「日本酒の味と香りの表現について」を参考にしていただくとよくわかると思います。
例えば無濾過の生原酒は、しぼりたてのお酒をそのまま瓶詰めにしたものですが、加水をしていないだけに非常に濃厚で、肉や乳製品を使用したフレンチやイタリアンにも、スパイスをふんだんに用いたエスニックな料理にもよく合います。
濃醇な旨味が特徴の長期熟成酒の場合は、上品な老酒にも通じる風味を持ち、角煮や酢豚といった中華によく合います。
このように日本酒の食中酒としての守備範囲は非常に広く、刺身や焼き鳥といった伝統的な肴はもちろんのこと、パスタやシチュー、チーズやサラダといった料理にも合わせることができるということが実証されています。
近年、海外での日本酒の評価が高まっているのはまさにその実力の証拠といえます。
料理で日本酒を選ぶ~食中酒のたしなみ~ まとめ
食中酒のたしなみとして、いつものお酒に加え、それとは違った性格の日本酒をいくつか用意しておくのはいかがでしょうか。
新たな銘柄のお酒に出会った時には、それがどんな料理に合うのか考えるのも、またひとつの楽しみとなるに違いありません。