沢の鶴~※マークの由来!米屋が創業し丹波杜氏が灘の味を今に伝える銘酒と資料館~沢の鶴株式会社

沢の鶴株式会社は神戸市灘区に本社を置く、灘でも有名な酒造メーカーです。

丹波杜氏による伝統の技と豊かな経験を生かして灘酒の良さを広く伝え続けている蔵元です。

米屋平右衛門

sawanoturu20現在では沢の鶴として知られていますが、その歴史は古く、創業は享保2年(1717年)で屋号は米屋でした。

米屋喜兵衛が大阪平野町で米屋を営みながら、灘五郷の一つに数えられる西郷で副業として酒造りを始めたのが最初と言われています。

この米屋喜兵衛は、浪速十人両替のひとりである大両替商の米屋平右衛門(米屋平右ヱ門とも表記されます)の別家です。

当時、米屋平右衛門は大名の蔵屋敷に出入りし、藩米を取り扱う仕事を主に行なっていたようです。

その時に使用されていた印が「※」で、現在も商標が印となっているのはそのためです。

澤之鶴の由来

izawa01「澤之鶴」という酒銘が登録されたのは、明治18年のことです。

この銘は、三重県にある伊雑宮(写真)という神社を訪れた創設者がこの神社の縁起に感激したために、それにちなんで名づけられたとされています。

沢は生命を育む水場であり、鶴がそのような場所で翼を休め羽ばたく姿を見ることで、人の心も潤う世界へ導きたいという願いが込められています。

酒造りに最適といわれる六甲山系の伏流水、いわゆる「宮水」を仕込水に、酒米は兵庫県産の山田錦が使用されています。

丹波杜氏が伝承してきた醸造技術である生酛造りにより、腰が強くて張りがあり、かつコクもある清酒を生み出しています。

その酒質により「沢の鶴」は江戸でたいへんな人気となり、現在の礎を築いたとされています。

酒一升以上に酒の粕進上

sawanoturu190002明治18年(1885年)に「澤之鶴」という酒銘を登録したのち、毎年2月には「酒一升以上に酒の粕進上」という新聞広告を載せたり、ビラを配ったりして現代のような積極的な宣伝を行なっています。

明治20年(1887年)には、大阪麦酒(現在のアサヒビール)の発起人としても関係しており、大正8年(1919年)には株式会社化し、昭和11年(1936年)には清酒の缶詰を初めて発売しています。

can昭和16年(1941年)には大東亜戦争のため酒類配給統制制度が実施されたことで、日本国内で酒類の生産にかなりの制限がかけられた時には、中国の大連で「玉蘭」という銘の酒を造り始めます。

戦後まもない昭和24年(1949年)の9月2日には、ハワイやロサンゼルスやサンフランシスコに向けて清酒の輸出を開始していますが、輸出の認可が出されたのはその前日の9月1日のことでした。

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1900年当時の酒蔵

沢の鶴株式会社と生酛造り

sawanoturu_logo昭和39年(1964年)に社名が現在の「沢の鶴株式会社」に変更されます。

昭和50年(1975年)には本社に本格的なコンピュータを導入するなど、最新の技術もすぐに取り入れています。

平成3年(1991年)にはロゴマークを創業時から使われてきた※印から鶴の羽をかたどった現行のものに変更し、併せてラベルの表記が「澤之鶴」から「沢の鶴」となりました。

sawanoturu13平成4年(1992年)には、生酛造りと呼ばれる醸造法を確立します。

この製法は、灘酒の原点ともいえる醸造法で、沢の鶴の伝統の技と豊かな経験が存分に生かされています。

この醸造法は、その後の沢の鶴のお酒に大きな影響を与えました。

平成5年(1993年)には、これまであまりはっきり定められていなかった温度の定義に関する研究の成果を発表します。

これにより、日本酒の冷やや燗における温度が明確になります。

平成7年(1995年)には、大容量カップ酒のパイオニアとなった1.5カップ(上撰・丹頂)を発売します。

沢の鶴のお酒には、モンドセレクションや全国新酒鑑評会において数々の受賞歴があります。

これまで、「河原蔵」「生酛純米」「瑞宝蔵」「ロシオ41」「西蔵」「瑞兆」「本醸造原酒」「乾蔵」「敏馬の浦」といった銘柄が受賞しています。

沢の鶴資料館

sawanoturu16沢の鶴資料館は、昭和53年11月に日本で初めて古い酒蔵をそのまま資料館として整備し公開したもので、酒造りの歴史を現代に伝える貴重な資料館となっています。

酒造りに使われた道具や醸造工程など、歴史を伝える資料を多く展示し、昔の灘の酒造りを肌で感じることができるようになっています。

当時は神戸市灘区大石南町1-29-1にあり、昭和55年(1980年)には酒造用の道具と共に兵庫県の重要有形民俗文化財の指定を受けました。

しかしながら、平成7年1月に起こった阪神淡路大震災により残念ながら全壊してしまいます。

それでも、3年7か月をかけ、平成11年3月に現在の場所に再建を果たします。

sawanoturu12日本初の木造免震構造(株式会社大林組による)を採用したこの資料館で、灘酒の伝統を現代の人々に伝え続けています。

日本酒メーカーの資料館としては、三宮や新神戸駅から最も近く入館無料なのも魅力のひとつです。

併設されている沢の鶴ミュージアムショップでは、日本酒を中心とした土産品が販売されているほか、利き酒も楽しめます。

このショップは免税店となっているため、海外の観光客にも人気があります。

開館時間: 午前10時~午後4時
休館日:  毎週水曜日(※祝日の水曜日は開館)、盆休み(8月10日~16日)、年末年始
兵庫県神戸市灘区新在家南町5-1-2

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おすすめのお酒

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いちおしは「沢の鶴 純米大吟醸『瑞兆』」です。

2015年度のモンドセレクション世界酒類コンクールで最高金賞、国際最高品質トロフィーを受賞したお酒です。

豊潤な吟醸香が口の中いっぱいに広がり、すがすがしく優しさに満ちたその味わいは、まさに沢の鶴の最高傑作のひとつと言えます。

銘柄: 沢の鶴 純米大吟醸「瑞兆」
特定名称: 純米大吟醸酒
使用米: 山田錦
精米歩合: 47パーセント
日本酒度: ±0
酸度: 1.7
アルコール度数: 16.5度

香り  弱・・・★・強
コク  薄・・・★・濃
キレ  弱・・・★・強
味わい 甘口・・★・・辛口

おすすめの飲み方

hotateやはり冷やして飲むのが最高です。

10度くらいの花冷えから15度くらいの涼冷えあたりがベストです。

料理との相性の幅も非常に広く、蒸し帆立貝、海老の酒蒸し、鯛の刺身など和食にはもちろんベストマッチですが、サーモンのソテーやエビチリにもよく合います。

その他のおすすめのお酒

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ほどよい香りと澄み切った味わいが特徴の蔵元最高級酒「沢の鶴 大吟醸『天空の泉』」もおすすめの逸品です。

山田錦を24%まで磨き、丹波杜氏の技術を惜しみなく注ぎ込んで完成した大吟醸酒です。

沢の鶴~※マークの由来!米屋が創業し丹波杜氏が灘の味を今に伝える銘酒と資料館~ まとめ

沢の鶴株式会社は、酒どころ灘の味を今に伝える貴重な蔵元です。

伝統的な丹波杜氏の業を受け継ぎながらも、最新の技術や知見を積極的に取り入れ、日々新たな日本酒を世に送り出し続けているのです。

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