日本酒の製造および、小売・卸業は、日本を代表する伝統産業です。
その上、起業が非常に古く、まさに日本一の老舗企業でもあります。
2013年に帝国データバンクが実施した長寿企業の実態調査によれば、創業100年以上の歴史を持つ企業は全国に約26,000社ほどあるということですが、そのうち707社は日本酒製造業でした。
この数字は、業種別構成比で見ると第1位です。
さらに第3位には酒小売業(596社)が、第7位には酒類卸業(408社)が入っており、日本酒関連企業の歴史が非常に古いことと、古来より日本酒の需要が高かったことをうかがい知ることができる結果となりました。
では、有名な老舗の蔵元をいくつかご紹介しましょう。
老舗の蔵元
銘酒「郷乃誉【さとのほまれ】」で有名な茨城県の須藤本家は1141年、平安時代後期の創業です。
平清盛が太政大臣になったのが1167年ですから、それよりも前ということになります。
「飛良泉【ひらいづみ】」の蔵元として知られる秋田県の飛良泉本舗は、創業が室町時代後期にあたる1478年です。
有名な応仁の乱(1467~1477年)の少し後ですね。
忠臣蔵にも登場した「黒松剣菱【くろまつけんびし】」の蔵元、兵庫県の剣菱酒造は1505年創業です。
戦国時代の1532年には滋賀県で「桑酒【くわざけ】」の蔵元、山路酒造が創業します。
ちなみに、日本に鉄砲が伝来したのが1543年ですからその古さがうかがい知れますね。
フランシスコ・ザビエルが来日する前年の1548年には新潟県の吉乃川が創業します。
「山は富士、酒は白雪」のコピーが懐かしい兵庫県の「白雪【しらゆき】」の蔵元である小西酒造もこの頃、1550年に創業しました。
武田信玄と上杉謙信の対決で有名な川中島の戦いはこの後、1553~1564年のことです。
15世紀に入って、徳川家康が征夷大将軍となった1603年には高知県で司牡丹酒造が創業しています。
江戸時代もまだ初期の1637年には京都府で月桂冠が創業しました。
ちょうど島原の乱があったころのことです。
月桂冠の「大倉記念館」は京都伏見の酒造りの様子を今に伝える貴重な資料館として有名です。
懐かしい「白雪」のCM
まとめ
こうして取り上げてみると、日本酒の蔵元は、まさに日本一の老舗企業なのだということがはっきりとわかります。
これからも大事にしていきたい伝統のひとつの分野ということができるでしょう。