日本酒をおいしく楽しむには、保存方法にも気を配る必要があります。
日本酒を保存する上でのポイントは、光(特に紫外線)と温度に注意することです。
基本は光が当たらないことと、低温かつ温度変化のないことが重要です。
お酒の醸造手法によっても違いますが、このようにして適切に貯蔵することで熟成が進み、独特の味わいが加味されてゆきます。
光に注意~日光臭の原因~
日本酒は光に弱く、お酒を無色のガラス瓶に移し変えて直射日光に当てると、わずか数時間ではっきりとわかるほど色が変化します。
日光臭と呼ばれる異臭が発生することもあります。
直射日光でなくてもこの傾向は変わりません。
室内の明るさや蛍光灯などの光でも、徐々に変化が生じてきます。
このようなわけで、日本酒は暗所で貯蔵しなければなりません。
新聞紙で包んで光をさえぎり、表に銘柄のメモを貼り付けておくと手っ取り早いですね。
温度に注意~老香の原因~
光の当たらない暗所で貯蔵していても、時間が経つにつれて日本酒に色がついてきます。
さらに、老香【ひねか】と呼ばれる独特の臭いが付き、くどくて雑味のある味に変質してゆきます。
この変化は基本的に、保存温度が高いほど速く進行します。
それで、長期保存する場合には、低温で温度変化がない状態を保つ必要があるのです。
日本酒は横で保存するな!
日本酒のフタの材質は、横にしての長期保存には不向きです。
特に一升瓶のフタは、機密性が弱く横にして保存していると酸化の原因ともなります。
一升瓶に比べると最近の四号瓶はフタの材質が強化されていますが、長期保存となると錆や変質の可能性があります。
日本酒の最適な保存方法は、原則「立て置き」です。
したがって、横置きが主流のワインセラーもダメです。
理想は冷蔵庫~光が当たらない最も涼しい場所で常温保存~
日本酒の種類や醸造方法によって異なりますが、通常は5~6度くらいの温度が保たれていれば2~3年の保存は十分に可能で、熟成効果も期待できます。
なお、15度前後に保たれている場合であっても1年くらいの保存は可能だと思われますが、これはいわゆる火入れの済んだお酒の場合で、生酒や生貯蔵酒などをはじめとして火入れを行なっていないお酒については、必ず5~6度以下の冷蔵貯蔵をしなければなりません。
こうした事柄をふまえて、家庭で日本酒を保存する場合には、お酒を化粧箱に入れたままの状態で、あるいは新聞紙などで包んで光が当たらないようにし、できるだけ涼しくて温度の変化がないところに置くように心がけましょう。
理想は冷蔵庫ですが、家庭用冷蔵庫は容量が小さいので一升瓶などはまず入りません。
ましてや、日本酒の保存は立て置きが原則なので何本も入れることはできないでしょう。
もっとも、火入れ済みの日本酒であれば、常温でたちまち劣化するというわけではありません。
家の中で光の当たらない最も涼しく温度の安定しているところに置くようにして、できるだけ早く飲み切ってしまうのがよいでしょう。
一升瓶も入れられるワインセラー
最近では、一升瓶を立てて保存できる日本酒用のワインセラーが市販されています。
これなら立てて保存できますし、光の当たらない暗い場所、温度を一定に保つことも容易です。
これなら日本酒の保存に最適ですが、ワインセラーは意外と場所をとりますし、金額も安くはありません。
ご家庭で購入するには不向きなような気もします。
場所とお金に余裕がある方にとって日本酒用ワインセラーは強い味方となります。
しかし、問題は生酒です。
火入れした日本酒と生酒は、保存に適した温度が違います。
生酒の場合~温度変化で劣化の原因に~
生酒の場合は冷蔵貯蔵が必須です。
冷蔵庫に入る程度の大きさの瓶で購入するか、面倒でも小さな瓶に小分けして冷蔵するようにしましょう。
また、家庭の冷蔵庫で保存する場合は庫内の温度変化にも注意しておく必要があります。
扉の開け閉めが頻繁だと庫内の温度変化が大きくなり、この温度変化によってお酒が劣化してしまいますので、ぜひともご留意ください。
日本酒開封後の保存方法 まとめ
せっかくの良いお酒も、味が落ちてしまってはもったいないものです。
適切な保管を心がけ、おいしく楽しみましょう。