津軽びいどろは、その独特な色合いと優れた技術、そして職人たちのガラスへの想いが融合したクラフトガラスで、青森県が認定する伝統工芸品です。
びいどろとは、ガラスを意味するポルトガル語のヴィードロに由来する言葉です。
津軽びいどろは1949年に創業した北洋硝子という会社によって製造されています。
当初、北洋硝子は漁業用の浮玉の製造が主な事業となっていました。
同業他社に比べて浮玉が丈夫だという評判を得たことから、1973年には生産高が日本で第1位となります。
その後、北洋硝子は長年の浮玉製造で培った宙吹きと呼ばれる技法を用い、ハンドメイドガラスの創作に取り組みます。
津軽びいどろの誕生
そしてついに1977年、津軽びいどろが誕生します。
その後も職人たちが技術開発に力を注ぎ、美しい色ガラスの調合や、高い技術を要する技法をほとんど独学で習得しながら努力を続け、現在では青森県伝統工芸品の指定を受けるまでになっています。
花器やオーナメントといったものから酒器や食器まで、職人たちが心を込めてハンドメイドで製作に携わっています。
色づくり
特徴的な色ガラスは、自社で原料の調合をしています。
ガラス素地には金属や鉱物を混ぜて着色しますが、調合した原料を坩堝に入れ、約1,500度という温度で一晩かけて溶かします。
温度の管理がとても重要なため、繊細な作業です。
完成したそれぞれの色のガラスを手作業で細かく砕き、製品の元となるフリットを作成します。
宙吹き
宙吹きとは、坩堝で溶けて飴状になった約1,200度あるガラスを吹き棹の先端に巻き取り、もう一方の端から息を吹き込んで膨らませながら形を整えてゆく技法のことです。
成形炉で何度も再加熱しながら色ガラスや色ガラスのフリットを重ね、自由自在に成形してゆきます。
型吹き
型を使って成形する型吹きという技法も用いられます。
宙吹きと同じように坩堝からガラスの素地を吹き棹に巻き取って色などを付けますが、その後金型に入れさらに息を吹き込んで成形する手法です。
使用する金型にぴったり合った形に仕上がります。
スピン成形
金型を使用する場合は、スピン成形と呼ばれる方法を用いることもあります。
途中までは同じで、坩堝からガラスの素地を棹に巻き取り、色を付けた後で金型に入れます。
違うのはその後で、この場合は金型を回転させ遠心力によってガラスを金型の形に仕上げるのです。
圧迫
瓶や花瓶などを成形する時には、機械と金型を使うこともあります。
必要な分量のガラス素地を金型に入れた後は、機械の圧力でガラスに空気を吹き込み、金型に沿った形に膨らませるという方法です。
オーナメント
小物やオーナメントなどを製作する場合は、さらに繊細な作業が要求されます。
坩堝から適量のガラスの素地を棹に巻き取り、小さな塊の状態にしてから金箔や色ガラスを重ねていきます。
成形炉やバーナーで再加熱を繰り返しながら、箸やピンセット、はさみなどを使って仕上げていくのです。
職人たち
工房では、かつて浮玉を吹いていた職人たちの技術と精神を引き継ぐ伝統工芸士と、これからが楽しみな若いガラス職人たちが心をひとつにして作業をしています。
青森の豊かな自然を身近に感じながらガラスと向き合い、確かなこだわりをもって生み出されているのが津軽びいどろなのです。
津軽びいどろ まとめ
現在、津軽びいどろは日本を代表するハンドメイドガラスと言ってよいでしょう。
その作品には何ともいえないあたたかみがあり、それは手にした人だけが味わうことのできる贅沢なのです。
津軽びいどろウェブサイトはこちら