本物の薩摩切子は決して安くはなく、それなりに高価なものです。
それでも最近は通販ショップなどでアウトレット品と称して安い価格で販売されていることがあります。
お得感がありますし、それに魅力を感じる人も多いことでしょう。
では、どのような薩摩切子がアウトレットとして出回っているのでしょうか。
安いものには理由がある
本来は高価なものですので、アウトレットとして比較的安価で販売されているのにはやはりそれなりの理由があります。
最も一般的な理由としては、ガラス生地の問題があります。
これは、薩摩切子の製作上の技法にかかわるもので、ある意味どうしても発生してしまう問題です。
薩摩切子の特徴のひとつとして、色被せと呼ばれる伝統的な技法による色の付いたガラス生地を用いることが挙げられます。
このガラス生地は江戸切子など他のガラス製品よりも色の付いた層にかなり厚みがあり、そのためガラスの内部に気泡があってもガラス生地の段階では目視で判別するのはなかなか難しいのです。
実際、職人が切子細工に取り掛かりカットを施していくのですが、ある段階まで来て初めて内部の気泡に気付くということがあります。
この気泡がカットによりうまく取れることもありますが、残ってしまう場合も多くあります。
このようにして、規格上では本来あってはいけない気泡が存在することで、通常の製品として販売ルートに乗せることは難しくなります。
いわば、規格外となるわけです。
気泡を取り除くためにさらにカットを加えた場合も同じで、形や文様が変わってしまいますから、やはり規格外となります。
このような薩摩切子の製品がアウトレット品として販売されることになるのです。
他にも、本来は透明であるはずのクリスタルガラスが洗浄やその他の理由で白く濁ってしまうことがあります。
この場合も、通常の製品としては販売できませんから、やはりアウトレット品として出てくることになります。
さらには試作品のようなものが出てくる場合もあります。
アウトレットは粗悪品ではない
こうしてアウトレット品が存在する理由を考えてみると、基本的にはアウトレット品自体は別に悪い製品ではないということがわかります。
むしろそれは1点ものということになり、そこに価値を見出す愛好家もいるほどです。
加えて、比較的安い価格で本物の薩摩切子を入手できるということも大きな魅力といえます。
粗悪品に気をつけるべし
ただ、気を付けたいこともあります。
アウトレット品のすべてが本物の薩摩切子ではないかも知れません。
輸入品であることもあります。
また、傷や欠けがあるためにアウトレット品として販売されている場合もあります。
この場合はガラス製品の特性上、早晩に割れてしまう可能性があります。
まとめ
アウトレット品を購入される場合は上記のような事柄をふまえつつ、よく確認し検討したうえで判断されるとよいでしょう。
また、アウトレット品であっても信頼できるお店で購入されることをおすすめします。