蒲田切子は東京都大田区蒲田で製作されているカットガラスです。
大きくは江戸切子に分類されますが、独特の特徴を持つことから蒲田切子としてブランド化し販売されているものです。
江戸切子の工場はその多くが江東区や葛飾区などに集中しています。
しかしながら、大田区にある蒲田にも4,000を超えるガラス工場が存在します。
蒲田といえば、以前は松竹の撮影所があり映画の街として有名でした。
昭和生まれの方なら蒲田撮影所の所歌となった蒲田行進曲になつかしさを覚えるかもしれません。
この曲は今でもJR東日本京浜東北線蒲田駅では発車メロディとして使用されています。
蒲田切子とは
明治16年のことですが、日本初の民間のガラス会社として知られる岩城硝子が創業します。
岩城硝子は現在でも耐熱ガラスなどを製造しています。
この岩城硝子の工場が蒲田にも作られ、そこで大勢の腕の良いガラス職人たちが生み出されてゆくことになります。
蒲田切子はこうした素地の上に発展してきました。
現在では、東亜硝子工芸株式会社の流れを汲む会社が自社の伝統工芸士によるオリジナルの製品を蒲田切子というブランド名で商標登録して販売を行なっています。
蒲田切子には、主として3種類の作品群が存在します。
蒲田モダン、花、伝統文様の3つです。
それぞれの特徴を簡単に説明しましょう。
蒲田モダン切子
まずは蒲田モダン切子と呼ばれ、現代的な感覚を取り入れた切子です。
特に水鏡デザインは人気です。
これは、生命の源である水と、邪悪なものを跳ね返す魔除けとしての鏡をモチーフに水の鏡をイメージしたデザインになっています。
その独特の文様や大胆な曲線が楽しくもあり美しくもある作品です。
花切子
花切子は、グラインダーで具象的な自然の柄などを下絵なしで直接グラスに彫っていく江戸切子の伝統的な技法を生かして製作されています。
葡萄や魚など自然のものをテーマに、独特の切子模様が刻まれています。
江戸切子
そして、伝統文様である七宝が刻まれた正統的な江戸切子の作品もあります。
文様が四方に広がることから七宝という当て字が用いられるようになったとされていますが、非常に精緻な文様であり、そのひとつひとつが職人の手によって丹念に彫られています。
もちろん伝統的な手磨きで製作されており、輝きと肌触りはまた格別です。
蒲田切子のウェブサイトはこちら
蒲田切子を購入するには
蒲田切子は百貨店などの催事場や、大田区蒲田にある工場の直営ショップで実際に手に取ることができます。
特に、蒲田の工房では、オーダーメイドのデザイン切子や子供向けの切子の製作も行なっています。
また、切子作りの体験ができるイベントなども行なわれているようですので、訪ねてみると興味深い体験ができることでしょう。
まとめ
蒲田切子の職人により新しいデザインの開発も進められているようです。
今後、どんな美しい製品が生み出されることになるのか、要注目と言えそうです。