大阪浪華錫器について~神事に用いられていた神聖なる器~優れた浄化作用

suzuki03大阪浪華錫器は大阪府大阪市で製造されている錫器で、経済産業大臣指定の伝統的工芸品です。

神具、仏具、酒器、茶器、菓子器、花器、その他日用品など様々な製品があり、錫を鋳込み表面処理を行なって仕上げられるものです。

大阪の錫器は日本のシェアの7割ほどを占めています。

錫器の歴史は大変に古く、現在確認できる世界最古の錫器は、今から3,500年も前の西暦前1500年頃のものと言われています。

それから歴史を通じて錫器は世界中の人々によって使用されてきました。

あの有名なレオナルド・ダ・ビンチの「最後の晩餐」に描かれている食器も錫のものです。

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錫器の歴史

jinron01日本に錫器がやってきたのは今から1,300年ほど前と言われています。

奈良の正倉院宝物庫には錫製薬壷、水瓶など数点が保存されています。

当時、錫は金や銀と同じくらい貴重で、宮中で用いる器や有力神社の神酒徳利、榊立などの神具としてごく一部の有力者たちだけが使用していたようです。

過去の文献にも錫器に関する記述を見つけることができます。

1690年に出版された「人倫訓蒙図彙」という本には「錫師は錫鉛を以て徳利鉢茶壺を造る」と記されており、江戸時代の初めごろには主に京都の周辺で製作されていたようです。

また、「本草綱目」という医学書には「井戸の底に錫板を沈めて水を浄化した」という内容が含まれています。

「貞丈雑記」という江戸時代の文献にも「今徳利と云う物を、いにしえは錫といひけるなり。

むかしはやき物の徳利なし。

皆錫にて作りたる故に『すず』と云ひしなり」などと書かれています。

徳利はほとんどが錫で作られていたために、その名残からか今でも宮中ではお酒を「おすず」と呼びならわしているとのことです。

このような経緯から、錫器製造業のルーツは京都にあるとされています。

江戸時代の初期になってからは、大阪の心斎橋を中心に幾つもの錫屋が錫器の製造を手掛け、一般にも広く普及していくことになります。

やがて、美しさを保ちつつも使い易さを重視した酒器や茶器が多く作られるようになり、おしゃれで高級な器として一般家庭でも用いられるようになってゆきました。

 

伝統的工芸品「大阪浪華錫器」

大阪での錫器造りは、江戸時代までさかのぼることができます。

延宝7年(1679年)の文献には、「錫引き、堺筋」と記録されています。

江戸中期になると心斎橋や天神橋、天王寺など流通の良いところで主に生産されるようになり、やがてはひとつの産業となりました。

suzuhan1正徳4年(1714年)には「錫半」という老舗が心斎橋にて開業します。

錫半は1996年に閉店してしまいますが、それまでに多くの大阪の錫器製造業者を引っ張り、錫器を特産品として確立することに貢献しました。

最盛期は昭和の前半ごろで、当時大阪では250名以上の職人たちが腕を競っていたと言われています。

戦時中には職人が軍隊に招集されたり、戦時統制によって材料の入手が困難になったりとかなりの打撃を受けましたが、錫器の製造はずっと続けられていました。

そして昭和58年(1983年)の3月に、伝統性やその技術と技法などについて審議され、当時の通産大臣(現在の経済産業大臣)により伝統的工芸品「大阪浪華錫器」として認定されました。

 

大阪浪華錫器の特徴

suzu02大阪浪華錫器の製造工程は、鋳込み、ろくろ引き、接合、仕上げと4つあります。

純粋な錫は常温では手でも曲げられるほど柔らかいため、溶かした時に銀や銅などを少し混ぜて合金にすることによって強度を増しています。

江戸時代の錫器には有毒な鉛が2割以上も含まれていることがありますが、現在の製品には鉛は使われていません。

錫はその柔らかさのため機械で加工するのはかなり難しいのですが、230℃程度と金属としてはかなり低温で融解するために鋳型を利用して鋳造しやすくなっています。

そうして鋳込んだ錫は十分に冷ましてから、ろくろを使用して刃物で引くと、独特の白い光沢を帯びるようになります。

デザインによっては、鋳型で2つ以上の部材を接合したり、鎚で打って表情を付けたり、硝酸で表面を腐食させたりすることもあります。

また、仕上げ工程で漆を塗ったり、藤などを巻いたりすることも多く行なわれています。

 

まとめ

大阪浪華錫器の製造に携わる職人たちは、伝統的な技術や知恵を受け継ぐ美しい製品を研鑽しながら作り続けています。

ぜひ手に取ってみてください。

今から3,500年も前から人類が使い続けてきた錫器に、日本伝統の技術と美しさが加わったものが大阪浪華錫器なのです。

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Kitagawa

最後までブログを読んでいただきありがとうございます。
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