関西地方の酒蔵

大阪・京都の2府と、兵庫・奈良・滋賀・和歌山の4県からなる関西地方。

このラインナップからも分かるように、関西の酒蔵の特徴は二つ挙げられます。

歴史と伝統の深さと、神社仏閣との結びつきの強さです。

神事に必要不可欠な酒、いにしえの酒造りは、朝廷を中心に行われていました。

しかし、平安時代になると醸造技術が民間にも伝えられるようになります。

大和(奈良)や河内(大阪)をはじめとした各地の大寺院を中心に、酒造りの歴史は発展していったのです。

その伝統の技術は、関西地方の酒蔵に今もなお引き継がれます。

日本清酒発祥の地である奈良県では、3回に分けて仕込みを行なう「3段仕込み」、麹と掛米の両方を精米する「諸白造り」、酒母の原型と言われる「菩提もと造り」などの近代醸造法の基礎ともなる技術が室町時代に確立されました。

「菩提もと」を用いた日本酒は、手法を受け継いだ酒蔵によって、現代でも醸されています。

また、酒蔵と神社仏閣との結びつきの形もさまざまです。

神事や祭事で使用される伝統の酒の製造を託されるだけでなく、大社の神官職であった者たちが酒蔵の創始者となっていたり、寺院や神社の古文書に記された製法を再現していたりと、歴史ある地域ならではの関わりを見せています。

都市の発展とともに、場所を移転してしまったり、暖簾を下ろしてしまったりした蔵もありますが、それでも数多くの老舗酒蔵が軒を連ねる関西地方。

伝統の酒造りを受け継ぎ、さらなる発展を遂げていきます。

 

京都伏見

かつて日本の政治の中心地であった京都。

平安時代には、朝廷に酒造司(みきのつかさ)という酒造り専門の部所が置かれたほど、日本酒の醸造と縁が深い場所です。

醸造技術が民間に広まった後も、京丹後・宮津・洛中など広い地域で酒造りが行われてきました。

中でも、酒どころとして名高い伏見は、江戸時代中期にいたるまでは他に追随を許さぬほど栄えた醸造地でした。

その後、地の利の悪さから江戸への出荷が滞った伏見の酒は、江戸積廻船を使用した兵庫の灘の酒の台頭を許してしまいます。

また、明治時代の鳥羽伏見の戦いによって数多くの酒蔵が大打撃を受け、生産量が激減したことも。

さらに、京都が大都市へと発展するにつれ、市内での酒造りが困難となり、多くの酒蔵が姿を消していきました。

しかし、長い歴史に裏付けられた醸造技術が廃れたわけではありません。

東海道線の開通などにともない、東京への販路が拡大したことで京都の酒造りは再び活気づいていきます。

そのため、京都には、激動の時代を生き抜き、国内有数の大蔵元となった酒蔵も少なくないのです。

「黄桜」「月桂冠」「宝酒造」といった大企業などが、その最もたるものでしょう。

国内の生産量トップ10に入り、京都を代表する酒造会社として名を馳せています。

長い歴史を持つだけに、時代のもたらす変革と常に向き合ってきた京都の酒造り。

政治の中心地の移動や、戦後の混乱をも乗り越えてきました。

国内での消費量が減る反面、輸出量が年々拡大し、海外において日本酒造りが行われるようになった現代。

京都の酒造りは、どのような形に変化し、対応していくのでしょうか。

 

兵庫灘五郷

兵庫県は、日本三大杜氏の一つである「丹波杜氏」が発祥した地域です。

その起源は、1775年に兵庫県出身の酒造工が、酒造業が盛んだった大阪池田市の杜氏となったことにあります。

高度な醸造技術を有した丹波杜氏の醸す酒は、各地で高い評価を得ていました。

また、兵庫県は、江戸時代に酒どころとして栄えた「灘」を有する地域でもあります。

灘五郷について詳しくは「灘五郷の歴史~灘酒が栄えた4つの理由!」の記事へ

酒造の霊水と言われる名水「宮水」と、良質な原料米が集まる立地条件に加え、丹波杜氏の集団が灘に進出したことで、酒造地として発展しました。

また、積廻船を使用した販路を持っていたことから、江戸時代後期には、江戸の需要の8割を占めていたと言われています。

こうした背景から、兵庫県は、蔵元の数が最も多い地域の一つとなりました。

これは三倍増が台頭した戦後の大量生産期、日本酒の需要低下による低迷期、1995年の阪神淡路大震災による被害を経た後でも変わりません。

「大関」「菊正宗」「白鶴」など大企業へと成長した蔵のみならず、多数の中小の蔵が現存するのは、兵庫ならではの特徴と言えるでしょう。

現在も、兵庫県の日本酒生産量は全国1位。

最高の酒造好適米である山田錦の名産地を有し、受け継いだ技のすべてを込めて数多の蔵元が酒を醸す風景は、これからも続いてゆくことでしょう。

→酒蔵名鑑 日本酒を産地で選ぶ

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Kitagawa

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