濃厚な日本酒~酒を酒で仕込む贅沢な味わい!十水仕込みと貴醸酒~

貴醸酒というお酒をご存知でしょうか?

端麗辛口だけが日本酒の醍醐味ではありません。

最近では、古きを訪ねて新しきを知るの精神で、濃厚甘口の日本酒もひとつの牙城を築いています。

その中でも特に特徴的なものが、「十水仕込み」「貴醸酒」です。

 

十水仕込み

現代の日本酒において定番となっているのは、酒米十石に対して水を十二石で仕込むというものです。

この「石」(こく)は日本では昔から使用されていた体積を表わす単位で、1石は水であれば180L、お米なら150kgに相当します。

つまり一般的な日本酒は、酒米十石(1500kg)に対して、十二石(2200L)の仕込水を使用しているのが普通ということです。

一方、「十水仕込み」とは、十石の米に対して十石の水で仕込む手法です。

これは酒米十石(1500kg)に対して、仕込水もお米と同じ十石(1800L)で仕込むというものです。

現代の常識からすると、2割ほど仕込み水の量が少なくなっているわけですが、実は昔はほとんどのお酒がこの割合で仕込まれていました。

この手法を現代に復活させたものが「十水仕込み」というわけです。

仕込み水の比率が少ないということですから、当然仕上がるお酒はかなり濃厚なものになります。

 

貴醸酒

貴醸酒という名称は聞きなれないかもしれません。

これは、日本酒造りの三段仕込みの最後の段階である「留仕込み」の時に、仕込み水ではなく日本酒を使用して仕込んだお酒のことをいいます。

甘くてとろりとしていて濃厚で、かつ上品な味わいが特徴のお酒です。

貴醸酒は、1973年(昭和48年)に国税庁醸造試験所(現在の独立行政法人酒類総合研究所)で生まれました。

当時の国賓の晩餐会においては、海外から来るお客様をもてなすお酒は専らフランス産のワインやシャンパンだったようです。

それで日本において日本酒が出せないことに疑問を感じた国税庁醸造試験所の研究室長である佐藤信博士は研究員たちと共に、貴腐ワインに匹敵するレベルのお酒の開発に着手しました。

そうして生まれたのが「貴醸酒」でした。

酒で酒を仕込むこの手法ですが、実は日本においては古来から存在していた手法でもありました。

 

古代から作られていた貴醸酒

平安時代の古文書である「延喜式」(えんぎしき)には、宮内省造酒司による「八塩折」(やしおり)と呼ばれる古代酒の製法が載せられていますが、それがまさに貴醸酒と同じ製法だったのです。

昔の人の知恵と技術には驚かされますが、現代にそのお酒が甦ったということもできます。

貴醸酒の最大の特徴は、貴腐ワインに匹敵するその甘さにありますが、葡萄ではなくお米からなぜそれほどの甘みを生み出すことができるのでしょうか。

それには日本酒独特の醸造メカニズムが深くかかわっています。

専門的に言えば日本酒は「並行複発酵」(へいこうふくはっこう)という種類の醸造をします。

→日本酒が生まれるまで~世界に類を見ない醸造方法と杜氏の仕事~

これはつまり、麹の酵素がお米に含まれるデンプンを分解して糖に変える「糖化」という作用と、清酒酵母がその糖を分解してアルコールに変える「発酵」作用を、同じ容器の中で同時に進行させるというもので、世界には例のない複雑な手法です。

 

酒を酒で仕込んだらどうなるのか!?

糖を分解してアルコールに変える清酒酵母には、ある性質があります。

発酵が進んでおよそ22度ほどのアルコール度数に達すると、素の酵母は自らが生み出したアルコールによって徐々に弱り、やがて死滅してしまうのです。

言い換えると、アルコール度数が22度程度になると発酵がゆるやかになり、やがて止まるということになります。

普通の日本酒では三段仕込みにおいて3回とも仕込み水を加えてゆきますが、貴醸酒の場合、初めの2回こそ水を使用しますが、最後の3回目にはお酒で仕込むことによって、最終段階でアルコール分が追加されることになります。

そのため、本来は分解されるはずの糖が、分解されてしまう前にアルコール度数が上限に達してしまい、そこで発酵がゆるやかになり、やがて止まるということになります。

つまり、麹によって作り出された糖がお酒の中にかなり多く残存することになり、結果として非常に甘いお酒が仕上がるというわけです。

 

貴醸酒協会に加盟している酒蔵のみが貴醸酒を名乗ることができる

貴醸酒の原料は米・米麹・清酒となり、税法上の区分としては普通酒になります。

しかしながら、仕込みにお酒を使用していることから、コストがたいへん高くつく贅沢な日本酒です。

熟成させた古酒タイプではさらに高価になります。

なお、「貴醸酒」という名称は貴醸酒協会によって商標登録されており、この協会に加盟している酒蔵のお酒のみが貴醸酒を名乗ることができます。

貴醸酒協会には現在40社ほどが加盟しているということです。

ちなみに、非加盟の酒蔵において同じ製法で造られたお酒は「再醸仕込み」、「醸醸」、「三累醸酒」といった名称が付けられています。

 

貴醸酒の味わいと美味しい飲み方

貴醸酒は、いろいろな楽しみ方ができるお酒でもあります。

少し温めて飲んでもいけますし、冷やしてストレートやロックで、あるいはソーダ割りやアイスにかけてなど、そのバリエーションは多くあります。

これまで日本酒が苦手だった方や、馴染みがなかった方にとっては非常に飲みやすいお酒です。

その甘い味わいは女性にも非常に受けがいいようです。

 

濃厚な日本酒~酒を酒で仕込む贅沢な味わい!十水仕込みと貴醸酒~まとめ

日本酒にもいろいろなタイプがありますが、「十水仕込み」や「貴醸酒」といったお酒は、日本酒の幅をさらに大きく広げた画期的なお酒と言うことができます。

ぜひ一度試してみることをおすすめします。

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Kitagawa
最後までブログを読んでいただきありがとうございます。 これからも日本酒についての記事を書いていきますのでブログシェアお願いいたします。

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